介護リフォーム

訪問リハビリ中に遭遇した「詐欺電話・悪徳業者」——高齢者の自宅に忍び込む手口と家族の対策

訪問リハビリで患者さんのお宅に上がらせてもらっていると、「実家の危険」を外から見る機会が自然と増えます。

介護や住まいの話ばかりではありません。高齢者の自宅には、外からの脅威が想像以上に多く忍び込んでいます。

今回は、私が訪問中に実際に遭遇した2つの場面をもとに、よくある手口と家族にできる対策をお伝えします。

この記事の結論

高齢者の自宅への詐欺・悪徳業者対策について、結論から先にお伝えします。

  • 「電話は折り返す」ルールを決めておく:子どもや孫を名乗る電話が来たらまず切って、知っている番号にかけ直す習慣を親と一緒に決めてください。
  • 「一人では決めない」を口癖にしてもらう:訪問業者が来たとき「子どもに相談してから」の一言だけで悪質業者はあきらめることが多いです。
  • 録音機能付き電話機を導入する:「この通話は録音されます」のアナウンスだけで詐欺電話の多くが切れます。1〜3万円で購入できます。
  • 「知っている」だけで防げる:詐欺の手口を一度話しておくだけが最も効果的な対策です。

以下で、各ポイントを詳しく解説します。


遭遇した場面①「子どもを名乗る詐欺電話」

ある高齢者夫婦のお宅でリハビリをしていたとき、電話が鳴りました。

電話に出たご主人が少し話を聞いたあと、静かに受話器を置きました。

「息子のふりして電話してくる人がいるから、気をつけないと」

そう言って、特に動揺した様子もなく話を続けてくれました。冷静に切っていたのです。

ただ、私が気になったのはその「冷静さ」がたまたまだったということ。別のお宅だったら、あるいは一人暮らしの方だったら——と考えると、決して他人事ではありませんでした。

おれおれ詐欺の典型的な手口

この手口は「オレオレ詐欺」「なりすまし詐欺」と呼ばれ、次のような流れが多いです。

  1. 「お母さん、オレだよ」と息子・娘を名乗る
  2. 「会社でトラブルがあって、今日中にお金が必要」
  3. 「友人が取りに行くから、現金を用意しておいて」

一度「もしかして本人?」と思わせてしまうと、そこから疑うのが難しくなります。

なぜ高齢者は狙われやすいのか

  • 日中一人でいる時間が長い(配偶者が通院中など)
  • 声の聞き分けが難しくなっている(加齢による聴力・認知の変化)
  • 「家族に迷惑をかけたくない」という心理が判断を鈍らせる
  • 電話を疑う習慣がない世代である

冷静に切れた方は、おそらく事前に家族か地域でそういった話を聞いていたのだと思います。「知っている」だけで防げることがあるのが、詐欺対策の大きなポイントです。

遭遇した場面②「屋根の修理が必要」と訪ねてきた業者

別のお宅でリハビリをしていると、玄関のチャイムが鳴りました。

「近くで工事をしていたところ、お宅の屋根が気になりまして」

そういう口上で、業者らしき男性が立っていました。

その場は「今日は来客中なので」とお断りになりましたが、一人でいたらどうなっていたか。そして「タダで点検するだけ」と言われたら、断りきれる方がどれだけいるか——と考えてしまいました。

訪問業者トラブルの典型パターン

「屋根修理」「外壁のひび割れ」「床下の湿気」「水道管の点検」など、目で確認しにくい場所を口実にするのが特徴です。

流れはほぼ共通しています。

  1. 「近くで工事中に、お宅が気になった」と声をかける
  2. 「無料で点検するだけ」と家に上がる
  3. 「このままでは大変なことになる」と不安をあおる
  4. 「今日契約すれば安くなる」と即決を迫る

不安をあおって判断力を奪い、その場で契約させるのがこのパターンの本質です。

特定商取引法と「クーリングオフ」

訪問販売で契約してしまっても、**クーリングオフ(8日以内の無条件解約)**が使えます。

ただし——

  • 現金払いで「もう工事が終わった」と言われると複雑になる
  • 高齢者が「悪いから」と言い出せないケースも多い

そもそも契約させないことが最優先です。

家族にできる具体的な対策

① 「電話は折り返す」ルールを決めておく

子どもや孫を名乗る電話が来たとき、まず電話を切って、知っている番号にかけ直す習慣を一緒に決めておきましょう。

「急いでいる」と言われても、一度切ることが鉄則です。

「電話番号を変えた」「携帯が壊れた」といった言い訳が出たときほど、疑うサインだと覚えておいてください。

② 「一人では決めない」を口癖にしてもらう

訪問業者が来たとき、その場で返事をしなくていいと伝えておきましょう。

「子どもに相談してから」という一言があるだけで、悪質業者はあきらめることが多いです。逆に「今日だけの値引き」「今決めないと損する」と急かしてくる業者ほど怪しいと思って間違いありません。

③ 録音機能付き電話機の導入

詐欺電話対策として有効なのが、自動で「この通話は録音されます」とアナウンスする電話機です。

それだけで詐欺電話の多くは切れます。費用は1〜3万円程度で、被害を防ぐ効果は大きいです。

→ 介護保険の住宅改修との組み合わせ方(別記事)

④ 市区町村・警察の情報を活用する

各市区町村では、特殊詐欺の注意情報をメールや電話で配信しているサービスがあります。

親御さんを登録しておくと、地域で発生した詐欺の手口が届くため、「最近こんな電話が多いらしいよ」と話題にしやすくなります。

⑤ 帰省時に一緒に確認する

帰省の際に、以下を一緒に確認しておくと安心です。

  • 最近「変な電話」や「業者の訪問」がなかったか
  • 通帳・印鑑の残高に不審な動きがないか
  • 玄関先に業者のチラシや名刺が残っていないか

「最近どう?」の会話の中に、さりげなく入れるのがコツです。

「知っている親」と「知らない親」では大違い

冒頭のエピソードで、高齢者夫婦のご主人が冷静に詐欺電話を切れたのは、おそらく事前に誰かから話を聞いていたからだと思います。

実家問題は、介護や不動産の話だけではありません。**「親が安全に暮らせているか」**という視点は、住まいの話と切り離せません。

一度だけでいいので、「最近こんな手口があるらしいよ」と話してみてください。それが、一番シンプルで効果的な対策です。

税務・法律・医療に関する個別の判断は、税理士・弁護士・医師などの専門家にご相談ください。


著者プロフィール けいすけ / 理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 11期目の大家。医療と不動産、両方の現場から「親の家、どうする?」を考えます。

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けいすけ(運営者)

理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 11期目の大家。 医療と不動産、両方の現場から見えてくる「親の家のリアル」を、なるべくフラットな視点で発信しています。