アパート売却で査定を複数社に出したら数百万円の差があった——大家・宅建士の体験談 賃貸

アパート売却で査定を複数社に出したら数百万円の差があった——大家・宅建士の体験談

「アパートを売ろうかな」と思ったとき、あなたはまず何をしますか?

もし「とりあえず近所の不動産屋に1社だけ聞いてみる」と考えているなら、ちょっと待ってください。

私はアパートオーナー(大家)として、実際に所有物件の売却を検討したとき、大手と地元の両方を含む3社に査定を依頼しました。その結果わかったのが、会社によって査定額に数百万円単位の差があるという現実です。

1社だけに聞いて「これが相場か」と納得していたら、大損していたかもしれません。

この記事では、私の実体験をもとに「なぜ査定は複数社に出すべきなのか」「大手と地元業者の違いは何か」「査定を賢く使うコツは何か」をできるだけわかりやすく解説します。


この記事を書いた人

  • 大家歴10年以上・家族法人でアパートを所有・運営
  • 宅地建物取引士(不動産の国家資格)
  • 賃貸不動産経営管理士(賃貸管理の国家資格)
  • 理学療法士10年以上・3児パパ

「不動産の売り手でありながら、不動産の知識もある」という立場から書いています。


結論:査定は絶対に1社だけで決めてはいけない

最初に結論をお伝えします。

アパートの査定は、必ず複数社(最低3社)に依頼してください。

理由はシンプルで、査定額が会社によって大きく違うからです。

これ、実際に経験するまでは「そこまで違うの?」と半信半疑でした。でも、いざ複数社に依頼してみると、同じ物件なのに会社ごとの提示額が数百万円単位でバラバラ。査定とは「この物件は今いくらで売れるか」の見立てなのですが、不動産会社によって計算の仕方や根拠が異なるため、こんなにも差が生まれるのです。

たとえるなら、同じ中古車を複数のディーラーに下取り査定に出したら、提示額がバラバラだった——あの感覚に近いです。「相場」というのは幅があるもので、その幅の中でどこをとるかは業者によって違う。

1社だけに聞いて「これが相場」と思い込むのは、非常に危険です。


実際に複数社に査定を出してわかったこと

査定額は会社によって数百万円単位で変わる

私が実際に3社に査定を出したとき、最も高い査定額と最も低い査定額の差は、数百万円単位になりました。

「どこに頼んでも大体同じでしょ」は幻想です。

なぜこんなに差が出るのか。主な理由は3つです。

①その会社が持っている買い手(購入希望者)の数が違う 投資物件(収益を目的とした不動産)に強い会社は、アパートを買いたいという客をたくさん抱えています。買い手候補が多ければ、高く売れる可能性も上がり、査定額も強気になりやすいのです。

②その地域の取引実績が違う 過去にその地域のアパートをどれだけ売買してきたかによって、相場の把握精度が変わります。実績豊富な会社は「この立地ならこの価格で売れる」という感覚が研ぎ澄まされています。

③会社の方針・戦略が違う 「とにかく売上を作りたいから高く査定して媒介契約(売却依頼の契約)をとる」という会社もあれば、「売れる価格を正直に伝える」という会社もあります。

対応のバラつきも大きかった

査定額だけでなく、対応の質もバラバラでした。

大手の不動産会社に依頼したとき、査定書は綺麗に整っていて、説明も丁寧でした。ブランド力があり、広告露出も多いため、「たくさんの人に物件を知ってもらえそう」という安心感がありました。

一方、地元の不動産会社に依頼したとき、査定書はシンプルでしたが、担当者がその地域の細かい事情をよく知っていました。「この物件は○○の用途で買いたい人が多い」「この路線は実は投資家に人気がある」といった、大手では出てこないような情報が飛び出してきたりしました。

どちらが良いとは一概に言えません。物件の種類や立地によって「強い会社」が変わるのです。


大手業者と地元業者、それぞれの強みと弱み

私の実感をもとに整理します。

大手業者の強みと弱み

強み

  • 知名度があるので買い手の目にとまりやすい
  • 組織として査定の精度が標準化されている
  • 売却後のサポート体制が整っている
  • 広告力(ネット・チラシなど)が強い

弱み

  • 担当者が地域の細かい事情に詳しくないことがある
  • 複数の営業マンが担当するため、担当者によって熱量が違う
  • アパートなど収益物件(投資物件)の専門性が弱い場合がある

地元業者の強みと弱み

強み

  • 地域の相場感・買い手ニーズを深く知っている
  • 担当者が物件をしっかり見てくれることが多い
  • 収益物件(アパートなど)に特化していると強力
  • 対応が早い・フットワークが軽い

弱み

  • 広告力・知名度が大手に比べて劣ることがある
  • 担当者のスキルに個人差がある
  • 会社の規模が小さいため、倒産リスクが皆無ではない

アパートの売却では、収益物件(投資物件)に強い専門の会社に依頼することが特に重要です。一般的な住宅の売却と、アパートの売却はまったく別物。アパートを主に扱っている会社に依頼するのと、たまにしか扱わない会社に依頼するのでは、対応の質がぜんぜん違います。


査定を複数社に依頼するときのコツ(宅建士・賃管士の視点から)

コツ① 最低3社以上に依頼する

1社では相場の比較ができません。2社だと「どちらが正しいか」で迷います。3社以上あると「この価格帯が妥当な相場」という感覚が見えてきます。

コツ② 大手と地元業者を混ぜて依頼する

「大手のみ」「地元のみ」ではなく、両方に依頼するのがおすすめです。査定額だけでなく、各社の強みも見比べられます。さらに、収益物件(アパート)専門の不動産会社があれば、そこにも1社入れると良いです。

コツ③ 査定額だけで選ばない

一番高い査定額を出した会社に頼みたくなる気持ちはよくわかります。でも、査定額は「その価格で売る保証」ではありません。

高い査定額を出した会社が、売却の依頼をとるために無理な金額を提示している可能性もあります。(これを「オーバープライス」といいます。価格をつりあげて契約をとり、あとから値下げを迫るやり方です。)

査定額の根拠(なぜその金額になるのか)をきちんと説明できる会社を選んでください。「周辺の成約事例(実際に売れた物件の価格)はどれくらいか」「利回り(家賃収入と価格の比率)はどう計算したか」を聞いてみると、その会社の実力が見えます。

補足:「利回り」とは、物件の価格に対して年間家賃収入がどれくらいの割合かを示すものです。アパートなど投資物件の価格は、この利回りが大きく関係します。

コツ④ 一括査定サービスを活用する

複数社に1社ずつ個別に連絡するのは大変です。「不動産一括査定サービス」を使えば、1回の入力で複数社にまとめて査定を依頼できます。手間が大幅に省けるので、まずはこれを使って各社の査定を集めるのがおすすめです。

どのサービスを使うか迷ったら、「イエウール・HOME4U・SUUMO売却査定を徹底比較——親の家の一括査定はどれを使う?」で3サービスの違いと使い分けを詳しく解説しています。

コツ⑤ 「売り出し価格」と「売れる価格」は違うことを理解する

査定額はあくまで「このくらいで売れるでしょう」という目安です。最終的に何円で売り出すかは売主が決めます。ただし、相場から大きくかけ離れた価格にすると売れない期間が長くなり、結果的に値下げを余儀なくされることも多いです。

宅建士として正直に言うと、「相場に近い価格で早く売る」の方が、「高い価格で長期間売れ残る」よりずっと有利なことが多いです。


まとめ

アパートの売却で査定を1社だけに頼むのは、大きなリスクがあります。

私の実体験でも、査定額は会社によって数百万円単位でバラバラでした。対応の質も、大手と地元業者でそれぞれ違う強みがありました。

査定は無料です。複数社に依頼することで損することは何もありません。むしろ、1社だけで決めると数百万円単位の損をする可能性があります。

「どこに頼めばいいかわからない」という方は、まず一括査定サービスを使って複数社の査定を集めることから始めてみてください。

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なお、不動産の売却・税務に関わる個別の判断は、宅建士・税理士など専門家へのご相談をおすすめします。


著者プロフィール けいすけ / 理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 大家歴10年以上。医療と不動産、両方の現場から「親の家、どうする?」を考えます。

📖 Kindle本:『訪問リハビリで見た、老後の住まいの「正解」と「嘘」』(¥500 / KU読み放題対象)


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けいすけ(運営者)

理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 大家歴10年以上。 医療と不動産、両方の現場から見えてくる「親の家のリアル」を、なるべくフラットな視点で発信しています。