「築10年を過ぎたら、大規模修繕を考えましょう」
管理会社からこう言われて、最初に迷うのが「どこに頼むか」です。管理会社に任せるか、建てた会社に頼むか、自分で業者を探すか。外壁の塗装や防水などをまとめて行う大規模修繕は、金額が数百万円単位になることも多く、頼み先の選び方で、費用も手間も大きく変わります。
この記事では、アパートの大規模修繕の3つの頼み先を比べます。あわせて、家族の物件で実際に大規模修繕をしたときに、なぜ管理会社経由を選んだのか(私は当時まだ関わっておらず、家族から聞いた話です)も、後半で紹介しました。
この記事の結論
- 頼み先は、管理会社経由・建てた建設会社に直接・自分で探した業者の3つ
- 一般に、管理会社経由は手数料が乗りやすい。ただし、窓口が一本で、管理会社も責任を持つ安心感がある
- 自分で探せば安くなることがあるが、業者選び・入居者への連絡・工事の確認まで自分でやることになる
- 家族の物件では、築10年目の大規模修繕で、3つを比べたうえで管理会社経由を選んだ。決め手は金額と、管理会社が間に入る安心感だった
- どこに頼む場合も、同じ条件で見積もりを比べることが大切
- 費用は、修繕のための積立から出せるように準備しておく
大規模修繕の頼み先は、3つある
| 頼み先 | よいところ | 気をつけたいところ |
|---|---|---|
| 管理会社経由 | 窓口が一本。入居者への連絡や工事の段取りも任せられる。管理会社も責任を持つ | 手数料(中間マージン)が乗りやすい |
| 建てた建設会社に直接 | 建物のつくりを一番よく知っている。保証の話がしやすい | 金額が高めになることがある。入居者対応は自分で決める必要がある |
| 自分で探した業者(塗装専門店・地元の工務店など) | 中間の手数料がない分、安くなることがある | 業者の腕の見極め、入居者への連絡、工事の確認まで、手間が自分にかかる |
どれが正解ということはありません。「お金で手間を買うか、手間をかけてお金を浮かすか」の選び方です。
家族の物件では、管理会社経由を選んだ
ここからは、家族から聞いた話です。
家族で持っている賃貸物件で、築10年目に大規模修繕をしました。私が家族の賃貸経営に関わるようになる前のことです。
そのときは、管理会社経由・建設会社・自分で探す業者の3つの頼み方を比べたうえで、管理会社経由を選んだそうです。決め手は2つでした。
- 金額:見積もりを比べて、金額にも納得できた
- 安心感:管理会社を通すことで、管理会社にも責任が生まれる。工事中や工事のあとに何かあっても、窓口がはっきりしている
費用は、それまで積み立てていた修繕のためのお金でまかなったと聞いています。
私自身は、別の記事で「管理会社経由の修繕は、手数料の分だけ高くなりやすい」と書きました。それは今も一般論として正しいと思っています。ただ、家族の例のように、比べたうえで管理会社を選ぶのは、十分に筋の通った判断です。大事なのは、比べずに任せないことです。
管理会社経由が向いている大家
- 物件から遠くに住んでいて、工事の立ち会いや確認がしにくい
- 本業が忙しく、業者とのやり取りに時間をかけられない
- 入居者が多く、工事中の連絡や苦情の対応を任せたい
- 何かあったときに、相談先をひとつにまとめたい
管理会社に頼む場合も、どの業者が実際に工事をするのか、管理会社の手数料が見積もりのどこに含まれているのかは、聞いておきましょう。管理会社との契約で、修繕の手配をどう扱うことになっているかも、あわせて確かめておくと安心です。契約書の見方は「管理委託契約書のどこを見るか」にまとめています。
直接頼む・自分で探すのが向いている大家
- 物件の近くに住んでいて、工事を自分の目で確かめられる
- 知り合いや、以前に頼んで信頼できる業者がいる
- 少しでも費用を抑えて、その分を家賃の維持や次の修繕に回したい
建てた建設会社に頼むなら、建物の図面や、これまでの修理の記録がそろっていることが多く、話が早く進みます。自分で探す場合は、最低でも2〜3社から見積もりを取り、施工の実績も見せてもらいましょう。
どこに頼んでも、見積もりで確かめたいこと
頼み先がどこであっても、比べるときに見るところは同じです。
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| 同じ条件で見積もりを取ったか | 塗料の種類や、どこまで工事するかが違うと、金額は比べられない |
| 「一式」ばかりになっていないか | 何に、いくらかかるのかが分からないと、高いか安いか判断できない |
| 足場の費用 | 大規模修繕では、足場が大きな金額になる。外壁と屋根などは、同じ足場でまとめると無駄が少ない |
| 工事のあとの保証 | 何年、どこまで直してくれるのか |
| 入居者への連絡を誰がするか | 工事中は、ベランダが使えない、洗濯物が干せない、などの不便が出る。事前のお知らせと、苦情の窓口を決めておく |
もうひとつ、税金の扱いも工事の前に確かめておきたい点です。工事の内容によって、その年の経費にできるものと、何年かに分けて経費にするものに分かれます。どちらになるかで、その年の税金が変わるので、工事の前に税理士に相談しておくと安心です。
費用は、積立で準備しておく
大規模修繕は、ある日突然やってくる工事ではありません。10年、15年と、時期がある程度読める工事です。だからこそ、家賃収入の一部を、毎月少しずつ積み立てておくことが大切です。
家族の物件でも、大規模修繕の費用は、それまでの積立でまかなうことができました。積立の考え方は「アパートの修繕費、月いくら積み立てる?」にまとめています。
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この記事のまとめ
- 大規模修繕の頼み先は、管理会社経由・建てた建設会社・自分で探した業者の3つ
- 管理会社経由は手数料が乗りやすいが、窓口が一本で、管理会社も責任を持つ
- 直接頼めば安くなることがあるが、手間とリスクは自分持ち
- 家族の物件では、築10年目に3つを比べて管理会社経由を選んだ。決め手は金額と安心感
- どこに頼んでも、同じ条件で見積もりを比べ、保証と入居者対応まで確かめる
- 税金の扱いは、工事の前に税理士に相談する
- 費用は、修繕の積立で前もって準備しておく
管理会社を変えることを考えている方は「管理会社を変えるなら1棟から」も参考にしてください。
工事の内容や費用は、建物の大きさ・つくり・傷み具合によって大きく変わります。税金の扱いは、税理士にご確認ください。
親の家をどうするかの全体像は「「親の家、どうする?」完全ガイド」にまとめています。
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