「この絵、昔は高かったのよ」
実家の片付けをしていると、親からこう言われる物が出てきます。絵画、掛け軸、置物。高かったと聞けば、それなりの値段で売れると思いたくなります。
わが家にも、そういう絵がありました。母が約40年前に、百貨店で約70万円で買ったパステル画です。この秋、母と相談して手放すことにしました。
結果は、3万1千円でした。この記事では、売れるまでの約3週間で試したことと、分かったことを、そのまままとめます。
この記事の結論
- 買った値段と、売れる値段は、まったく別物。約70万円の絵が、相場では3万円台だった
- 相場は、ネットオークションの「落札された値段」で調べられる
- 査定は、LINEで写真を送るだけで何社からでも取れた。ただし値段は2万〜4万円と、ばらばらだった
- その作家を知っている業者にしか、値がつかない。扱っていない作家だと断られることもある
- ヤフオクとメルカリにも出したが、売れなかった。大きな絵は、梱包と送料も重い
- 決まりかけた業者と連絡がつかなくなった。口頭の金額は、確定ではない
- 最後は出張買取で、交渉して3万1千円。下限を決めておいたのがよかった
- 1点30万円以下の絵を売ったお金には、原則として税金はかからない
売る前に——「いくらで買ったか」は、ほとんど関係ない
最初にやったのは、今いくらで売れているかを調べることでした。
絵の裏には作家の名前があり、調べると、有名な画廊で扱われていた洋画家でした。すでに亡くなっている方です。母が百貨店で買ったときも、それなりの値段だったのは、そのためです。
その作家の名前で、ヤフオクの落札された値段を調べました。過去半年で17件、平均は約3万5千円。いちばん高いもので8万5千円ほどでした。
約70万円で買った絵の相場が、3万円台。 これが現実でした。百貨店の値段には、画廊や百貨店の利益、額縁代などが含まれています。売るときは、その分はほとんど戻ってきません。
調べ方は簡単です。
- ヤフオクで作家名を検索し、「落札相場」を見る
- メルカリなら、「売り切れ」に絞って値段を見る
- 同じ作家でも、大きさ・技法(油絵・版画など)・状態で値段が変わる
査定は、LINEで写真を送るだけで取れた
次に、買取業者に査定を頼みました。今は、LINEで写真を送るだけで、おおよその値段を教えてくれる業者が多くあります。私は、絵の写真を6枚ほど送りました。
結果は、こうでした。
| 問い合わせ先 | 結果 |
|---|---|
| 美術品の買取業者 | 2万5千円前後 |
| 画廊A | 辞退(扱っていない作家のため) |
| 画廊B | 返事なし |
| 美術商 | 約4万円 |
| 出張買取の業者 | 2万〜4万円 |
ここで分かったのは、その作家を知っている業者にしか、値がつかないということです。画廊でも、扱っていない作家の絵は買い取りません。逆に、作家を知っている業者は、すぐに具体的な金額を出してくれました。
まずは美術品に強い業者を中心に聞くと、話が早く進みます。
ヤフオクとメルカリにも出してみた
業者の査定より高く売れるかもしれないと思い、ヤフオクとメルカリにも出しました。
- ヤフオク:5万5千円スタートで出品。見ている人はいたが、入札はゼロ
- メルカリ:5万円(送料込み)で出品。「いいね」は5つついたが、売れず
個人で売る場合は、手数料と梱包も考える必要があります。
- ヤフオクの手数料は、落札額の約1割
- この絵は、額の外側が縦横70〜90cmほどある大きさでした。額縁用の箱がなく、自分で梱包するのも、送るのも大変です
相場が3万円台の絵を5万円台で出しても、すぐには売れません。「業者に売るより、手元に多く残る値段」にしたかったのですが、それは相場より高い値段だった、ということです。
決まりかけた業者と、連絡がつかなくなった
ネットで売れなかったので、いちばん高い約4万円を出してくれた美術商に売ることにしました。持ち込みでも、集荷でもよいと言ってもらい、ほぼ決まりかけていました。
ところが、集荷について質問したメッセージが、何日も読まれないままになりました。もう一度連絡しても、状況は変わりませんでした。
ここで学んだのは、写真での査定額は、まだ確定ではないということです。
- 査定額には、有効期限があることが多い
- 実物を見てから値段が下がることもある
- 返事が遅い相手とは、期限を決めて見切る
結局、この美術商はあきらめて、別の業者に頼むことにしました。
最後は出張買取で、交渉して3万1千円
頼んだのは、写真で「2万〜4万円」と答えてくれていた、出張買取の業者です。大きな絵を運ばなくてよく、値段が合わなければ、その場で断れるのが決め手でした。
当日、査定の人は、紙の歪みや額の剥がれまで、細かく確認していました。こうした状態は、値段に響きます。
最初に出された金額は、もう少し低いものでした。私はあらかじめ「3万円を下回ったら売らない」と決めていたので、そのうえで交渉し、3万1千円で売ることにしました。
出張買取というと、「家に上がり込まれて、ほかの物まで売るよう勧められるのでは」と心配になるかもしれません。実際には、営業らしい営業は特になく、やり取りも玄関先で済みました。名前や住所などの個人情報は伝えることになりますが、過度に身構える必要はなかったというのが、私の正直な感想です。
もうひとつ安心できたのは、クーリング・オフの説明もしっかりあったことです。家に来てもらって品物を買い取ってもらう取引(訪問購入)には、法律でルールが決められています。国民生活センターによると、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができ、その間は品物を業者に渡さないこともできます。ただし、品物の種類や取引の形によっては対象外になることもあるので、気になるときは、その場で業者に確認してください。
出張買取で気をつけたいのは、次の点です。
- 出張費やキャンセル料がかからないかを、先に確認する
- 本人確認書類(運転免許証など)を用意しておく
- クーリング・オフの説明があるか、契約書面をもらえるかを確かめる
- 買取の明細をもらう。品名と金額が書いてあれば十分
- 下限の金額を、家族で先に決めておく。その場の雰囲気で決めない
売ったお金に、税金はかかる?
家具や道具、絵など、生活で使っていた物を売ったお金には、原則として税金はかかりません。
ただし、絵画・骨とう品・貴金属・宝石などは、1点(1組)30万円を超えると、税金の対象になることがあります。今回は3万1千円なので、税金も確定申告も必要ありませんでした。
高価な美術品を売るときや、たくさんの物を続けて売るときは、税務署や税理士に確認してください。
実家の絵を売るときの手順
今回の経験から、順番をまとめると次のとおりです。
- 親に「売っていいか」を確かめる。思い出の品であることも多い
- 作家名を調べ、ネットの落札相場を見る。買った値段は忘れる
- 美術品に強い業者2〜3社に、LINEで写真査定を頼む
- 下限の金額を、家族で決める
- 出張買取や持ち込みで、実物を見てもらう。合わなければ断る
大きな物や、価値が分からない物は、自分で値段をつけるより、業者に見てもらうほうが確実です。実家の物を「売る・任せる・譲る・捨てる」の順番で考える方法は「実家の不用品、捨てる前に——メルカリで売れた親の物」にまとめています。
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この記事のまとめ
- 約70万円で買った絵の相場は3万円台。買った値段と売れる値段は別物
- 相場は、ヤフオクの落札相場やメルカリの売り切れで調べられる
- 査定はLINEの写真で取れる。値がつくのは、その作家を知っている業者
- 大きな絵は、ネットで売ると梱包・送料・手数料が重い
- 写真の査定額は確定ではない。返事が遅い相手は、期限を決めて見切る
- 出張買取なら、その場で断れる。下限を決めてから交渉する
- 1点30万円以下なら、原則として税金はかからない
片付け全体の進め方は「実家の片付け 手順7ステップ」にまとめています。
買取の値段は、作家・大きさ・状態・時期によって大きく変わります。この記事の金額は、あくまで一つの例です。税金の扱いは、税務署や税理士にご確認ください。
親の家をどうするかの全体像は「「親の家、どうする?」完全ガイド」にまとめています。
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