「実家に帰ると、廊下が暗いんです。親は『慣れているから大丈夫』と言うんですけど」
親の家の転倒予防というと、段差をなくす、手すりをつける、という話になりがちです。でも、もうひとつ見落とされやすいものに、照明があります。足元が見えなければ、段差も物も、よけることができません。
この記事では、訪問リハビリの理学療法士(PT)として、親の家のどこを明るくすればいいかと、手軽にできる灯りの工夫をまとめます。
この記事の結論
- 私が訪問先で「暗くて危ない」と感じるのは、廊下・トイレまでの道、玄関、階段
- いちばん大事なのは、夜に通る道を、途切れずに明るくすること
- スイッチを探さなくていい、人感センサーで自動でつく灯りが便利
- 現場では、足元灯で助かっている家も見てきた
- 親が電気代を気にして暗くしているなら、電気代より、転ばないことのほうが大事と伝えたい
現場から——暗くて危ないのは「通る道」
私が訪問リハビリで「ここは暗くて危ない」と感じるのは、主に次の3か所です。
| 場所 | 暗いと何が起きるか |
|---|---|
| 廊下・トイレまでの道 | 夜中に通る。床の物や敷居が見えず、つまずきやすい |
| 玄関 | 上がりかまちの段差の高さがわかりにくい。靴の脱ぎはきで体が揺れやすい |
| 階段 | 一段ごとの縁(ふち)が見えにくく、踏み外しやすい |
どれも、段差や物がある場所です。明るさが足りないと、段差がどこから始まるのか、物がどこにあるのかが、目でとらえにくくなります。
足元灯で助かっている家もある
一方で、現場では足元灯(足もとを照らす小さな灯り)をうまく使っている家も見てきました。
廊下やトイレまでの道に足元灯があると、夜中に起きたときも、床と段差の位置がわかる状態で歩き出せます。大がかりな工事をしなくても、灯りを足すだけで、夜の通り道はずいぶん変わります。
私が家族に伝えたいこと——夜の道を、途切れずに明るく
親の家の照明を考える家族に、私が伝えたいのは次の3つです。
- 夜に通る道を、途切れずに明るくする
- スイッチを探さなくていい、自動でつく灯りを使う
- 電気代より、転ばないことのほうが大事
1. 夜に通る道を、途切れずに明るくする
大事なのは、部屋の中だけを明るくすることではありません。寝室を出てから、トイレに着くまでの道が、途中で暗くならないことです。
明るい部屋から暗い廊下に出ると、目が慣れるまでに少し時間がかかります。その間に、足元の段差や物を見落としやすくなります。寝室・廊下・トイレの前に、点々と灯りがある状態を目指してください。
2. 自動でつく灯りを使う
夜中に起きたとき、暗い中で壁のスイッチを探して歩くのは、それ自体が危ない動きです。
人感センサーの灯り(人の動きを感知して自動でつき、しばらくすると消える灯り)なら、スイッチを探さずにすみます。
- コンセントに差すタイプ:廊下やトイレの前の足元に。電池交換がいらない
- 電池式・充電式:コンセントがない階段や玄関に。壁や柱に貼れるものもある
工事がいらないので、賃貸の家でも使えます。(Amazonで人感センサーの足元灯を探す)
3. 電気代より、転ばないことのほうが大事
親世代には、電気代を気にして、廊下や玄関の電気をつけずに過ごしている人もいます。
その気持ちは大切にしつつ、「電気代より、転ばないことのほうが大事」と伝えてください。足元灯や人感センサーの灯りは、必要なときだけつくので、つけっぱなしにするより無駄がありません。
場所ごとの灯りのポイント
| 場所 | 置き方のポイント |
|---|---|
| 寝室 | ベッドから起き上がったとき、足をおろす場所が見えるように。手元で操作できる灯りもあると安心 |
| 廊下 | 寝室の出口からトイレの入口まで、途中で暗くならないように点々と |
| トイレ | 入口の前と、中の足元。ドアを開けたときに床が見えるように |
| 玄関 | 上がりかまちの段差を照らす位置に。夜に帰宅したときにもつくように |
| 階段 | 上と下の両方から足元が見えるように。一段目と最後の段は特に |
まぶしすぎる灯りが、まっすぐ目に入る位置にあると、かえって足元が見えにくくなります。足元を照らす向きに置くのがコツです。
よくある質問
家じゅうを明るくしないといけない?
いいえ。まずは夜に通る道(寝室からトイレまで)を優先してください。そこが途切れずに明るくなるだけでも、大きく変わります。
工事をしないとセンサーライトはつけられない?
コンセントに差すタイプや、電池式・充電式のものなら、工事はいりません。賃貸の家でも使えます。
親が「まぶしい」と嫌がったら?
足元だけを照らす小さな灯りにしてみてください。顔に光が向かない位置に置くと、まぶしさを感じにくくなります。
この記事のまとめ
- 暗くて危ないのは、廊下・トイレまでの道、玄関、階段
- 夜に通る道を、途切れずに明るくする
- スイッチを探さなくていい、人感センサーの灯りが便利。工事なしで使える
- 現場では、足元灯で助かっている家もある
- 電気代より、転ばないことのほうが大事
夜中のトイレまでの道については「夜間のトイレが一番危ない」に、階段の手すりについては「階段の手すり、片側だけで足りるか」にまとめています。
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