冬の脱衣所が危ない——PTが見るヒートショックと着替え

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介護リフォーム

冬の脱衣所が危ない——PTが見るヒートショックと着替え

「冬になると、親がお風呂に入っている間が心配で」

寒い時期のお風呂で気をつけたいのが、ヒートショックです。暖かい部屋から寒い脱衣所へ、そして熱いお湯へ。急な温度の変化で血圧が大きく上下し、体に負担がかかることをいいます。

ヒートショックの対策というと、脱衣所を暖める話が中心になりがちです。もちろんそれは大切です。でも、訪問リハビリの理学療法士(PT)として見ると、お風呂まわりの「動き」にも、気をつけたいところがあります。

この記事では、寒くなる前に家族が確かめておきたいことを、現場で気になっていることとあわせてまとめます。

この記事の結論

  • 私が訪問先で気になるのは、脱衣所が寒い、立ったまま着替えている、湯船から立つときにふらつく、熱いお湯・長風呂の4つ
  • 寒さ対策だけでなく、着替える・立ち上がるという動きにも危なさがある
  • 家族に伝えたい工夫は、脱衣所を暖める、座って着替える場所をつくる、湯船からはゆっくり立つ、家族が声をかけるの4つ
  • 消費者庁も、湯温は41度以下、つかる時間は10分までを目安としている
  • 寒くなる前の今のうちに、脱衣所を一度見ておく

現場から——冬のお風呂まわりで気になる4つのこと

私が訪問リハビリで、冬のお風呂まわりについて気になるのは、次の4つです。

気になることどうして危ないか
脱衣所が寒い暖房のない脱衣所は、冬はとても冷える。服を脱いだとき、体が一気に冷やされる
立ったまま着替えている座る場所がなく、片足で立ってズボンや下着を脱ぎはきしている。体がぐらつきやすい
湯船から立つときにふらつく温まったあと急に立ち上がると、頭がふわっとすることがある
熱いお湯・長風呂熱めのお湯に長くつかるのが好きな人が多い。体への負担が大きくなる

寒さだけでなく、「動き」にも危なさがある

ヒートショックの話は、温度に目が向きがちです。でもPTとして見ると、寒い脱衣所で、片足立ちで着替える、温まった体で、湯船から急に立ち上がるという動きそのものが、ふらつきや転倒につながりやすい場面です。

寒さで体がこわばっているところに、片足立ちやすばやい立ち上がりが重なる。温度と動きの両方を見ておくことが大切です。

立ち上がったときに頭がふわっとする「ふらつき」については「転倒は「つまずき」だけじゃない」にまとめています。

私が家族に伝えたいこと——冬のお風呂の4つの工夫

1. 脱衣所を暖める

入る前に、脱衣所を暖めておきます。暖房のない脱衣所なら、小さな暖房器具を置くだけでも違います。

  • 人がいるときだけ動く人感センサー付きのものなら、つけっぱなしを防げる
  • 水まわりで使うので、脱衣所での使用を想定したものを選ぶ
  • 足元に置く場合は、コードや本体につまずかない位置に

(Amazonで脱衣所用の人感センサー付きヒーターを探す)

2. 座って着替える場所をつくる

脱衣所に、いすを1脚置いてください。座って着替えれば、片足立ちをしなくてすみます。

  • 背もたれがあり、ぐらつかないもの
  • 立ち上がるときにつかまれる場所(洗面台のふちや手すり)が近くにあると、なお安心

靴の脱ぎはきを座ってするのと同じで、着替えも座ってするだけで、転ぶ危なさはぐっと下がります。

3. 湯船からはゆっくり立つ

温まった体で急に立ち上がると、頭がふわっとしやすくなります。

  • 湯船から出るときは、ふちや手すりにつかまって、ゆっくり
  • 立ち上がったら、すぐ歩き出さずに少し待つ

浴室の手すりの位置については「浴室の手すり、縦か横か」にまとめています。

4. 家族が声をかける

一緒に住んでいるなら、お風呂に入る前に一声かけてもらうようにしてください。入っている時間が長いと感じたら、外から声をかけます。

離れて住んでいる場合は、入浴の時間帯に電話をしない・急がせないことも、ちょっとした気づかいになります。

消費者庁が示している注意点

消費者庁は、冬の入浴中の事故を防ぐために、次のような点を挙げています。

  • 入浴前に、脱衣所や浴室を暖める
  • 湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にする
  • 浴槽から急に立ち上がらない
  • 食後すぐ、飲酒後、薬を飲んだあとの入浴は避ける
  • 入浴前に、同居の家族に一声かける

熱いお湯や長風呂が好きな親には、「41度・10分」という目安を、温度計やタイマーと一緒に伝えると、具体的でわかりやすくなります。

心臓の病気(心不全)がある親の入浴の目安や、息切れしやすい場面については「心不全の親の家」にまとめています。

脱衣所に体重計を置いている家では、乗り降りでふらつかない置き方も大切です。「心不全の親の体重計、どこに置く?」にまとめています。

よくある質問

脱衣所の暖房は、どんなものがいい?

脱衣所での使用を想定した、小さな暖房器具が手軽です。人がいるときだけ動く人感センサー付きなら、つけっぱなしを防げます。置き場所は、足元でつまずかない位置にしてください。

狭い脱衣所で、いすを置く場所がありません。

折りたためるいすや、小さな丸いすでもかまいません。着替えるときだけ広げて、座って脱ぎはきできる状態をつくることが大切です。

親が熱いお湯をやめてくれません。

「やめて」と言うより、「41度・10分」という具体的な目安を伝えるほうが受け入れられやすいことがあります。温度計やタイマーを一緒に置いてみてください。

この記事のまとめ

  • 冬のお風呂で気になるのは、脱衣所の寒さ、立ったままの着替え、湯船からの立ち上がり、熱いお湯・長風呂
  • 寒さだけでなく、着替える・立ち上がる動きにも危なさがある
  • 工夫は、脱衣所を暖める、座って着替える、湯船からはゆっくり、家族が声をかける
  • 目安は、湯温41度以下、つかる時間10分まで(消費者庁)
  • 寒くなる前の今のうちに、脱衣所を見ておく

浴室そのものの工事を考えている場合は「浴室リフォームで転倒を防ぐ」も参考にしてください。

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持病のある方や、薬を飲んでいる方は、入浴の注意点について主治医にも確認してください。介護保険で使える住宅改修や福祉用具は、市区町村の窓口やケアマネジャーでご確認ください。

親の家をどうするかの全体像は「「親の家、どうする?」完全ガイド」にまとめています。

けいすけ(運営者)

理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 大家歴10年以上。 医療と不動産、両方の現場から見えてくる「親の家のリアル」を、なるべくフラットな視点で発信しています。